サワーチェリーパイ
ちびちびとそれを飲みつつ様子をうかがっていても、陽生は一向に戻っては来ず、アーリオが独占し続けた。


2人の様子は楽しげに見え、最後のパーティーなのに1人で過ごさなくてはいけないという屈辱を味わった晴斗。


照明が薄暗くなり、スローテンポの曲が始まるとアーリオが手招きした。

「ハルト、change」
「お前なあ」


文句を言おうとした晴斗に対し、アーリオはウィンクしながら説明を始める。


「ハルキ、dance beginner。イママデノハlesson」


納得した晴斗は、それ以上何も言えなかった。


アーリオなりの、アフターサービスと気づいたから。
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