サワーチェリーパイ
「うわっ、これありえねー」


バスルームから響く彼の声に、両手を思わず合わせて謝る陽生。


「すまない、商品があんまり無くて」


出て来た晴斗の姿は、下こそスラックスで隠れているものの、ピチピチのTシャツから乳首が浮き出ている何ともおかしな状態だった。


「ぷっ」


恥ずかしさのあまり、吹き出した陽生。


「なんだよ、買って来たのはお前だろ」
「悪い、つい」
「何か着るモン無いか? ジャージとか」
「あー、スエットならあると思う」


段ボールの中を探り、灰色のスエットを出すと渡した。


しかしそれも陽生のサイズであったため、晴斗には厳しいシロモノだ。
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