サワーチェリーパイ
何と言っていいのか分からない事態になり、ただ立ち尽くす彼女。


それを見かねて、晴斗は席を立つと頭を代わりに下げる。


「単に、バイバイって言うだけでもいいんだぞ。皆、その言葉だけでいいよな? 」


全員がうなづき、三次が放っていた鋭い空気が少しだけ和らぐ。


「最後までお前には世話になりっぱなしだった、代わりに頭まで下げさせて」
「いいから早く挨拶しろよ」


うながされた陽生は目をうるませながら、別れの言葉を述べる。


「家の事情で田舎に帰る事になりました、皆にはお世話になったし、東京でのいい思い出もたくさん出来た。本当に、ありがとう」
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