サワーチェリーパイ
タイトルは『ワタシの初体験』と書かれており、制服姿の女の子が微笑んでいる。


「エロ本渡してんじゃねーよ、お前は」


禁煙パイプをくわえた三次が、パコっとそれで虹太の頭を叩く。


「何事も勉強だろ、知っててソンはねえっての」
「ありがとう、虹太」
「僕達からはこれ、参考書」
「大学でまたこっちに戻って来るといいよ、その時まで勉強頑張って」


御花台の2人は真新しい参考書を何冊も渡し、少しだけ鼻をすする。


勉強にしか興味の無かった彼らも、陽生に出会った事で少し変われたからだろう。


「何だよ、お前らちゃんと用意しやがって、俺なんか何もねーぞ」


不服そうに三次が言うと、陽生は両手を振った。
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