サワーチェリーパイ
「泣くなよ、湿っぽいの苦手なんだろ」


晴斗はそう言って、ヨレヨレのハンカチを差し出す。


「ごめん、でも今は泣きたいんだ」
「ハルキー、Don't cry」


アーリオはこれ以上悲しい事は無いとばかりに、派手に泣き始める。


「smile please ワラッテルハルキダイスキ」


マーティンも両目から涙をボロボロこぼしながらその背中をさすった。


すっかり自分の役を奪われた晴斗は、どうしていいか分からずにただボンヤリとそれを見ているだけだ。
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