サワーチェリーパイ
「センセー、ワースト1位は? 」
「お前だ、だいたい予備校の社長だろう、親が。なんで勉強しない」
「俺っすかー、ありえねー」
「大学どころか、卒業すら危ないぞ」


こんなやりとりの最中、三次の携帯が鳴り出す。


着信メロディは『1たす2たすガンバルカン』で、駿府からの電話だと分かる。


HRの真っ最中だと言うのに、騒ぎに乗じて電話に出た彼の顔色が変わった。


「何だって? 」
『だから、藤川が今日帰るって。先生から聞いたから間違いない』
「分かった、お前らはどうする? 」
『晴斗次第だよ、インターの2人には連絡するから、じゃあ』


終話ボタンを押すと、ボーッとしたままの晴斗の右ほおに見事なストレートを入れる三次。


「おい! 目を覚ませ」
「んあ? 」
「陽生が今日行っちまう! すぐに出ろ! 」
「え……」


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