サワーチェリーパイ
帰り道の途中にある土手でサッカーをするために、あたしはいつもリュックの中にボールを入れて持ち歩いていた。


本当は、足にケガをしたら大変だからと、彼のお母さんにも言われていたけれど、樹はサッカーが好きで、フィギュアさえやっていなければ、サッカー選手になりたいと言っていた。


その相手を小さい頃からしていたので、いつの間にかあたしも上手くなっていて、最近地元のサッカークラブに入った位、彼に合わせようと努力している。


「陽生、パス! 」
「おうっ」


2人でボールを蹴りあっていたら、日が暮れて来た。


たった30分の間だけど、幸せな時間。


ボールは、2人を繋ぐ大事なモノ。
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