サワーチェリーパイ
「まあ、とにかく書こうぜ、もうすぐ高速の入り口だし」


ダンプは首都高に入ろうとしている、それまでに書き上げなければ強風で吹き飛ばされてしまうだろう。


「でもよー何て書くんだ? 」
「I Love youトカ? 」
「人数に対する文字数が多すぎるよ」


早瀬とマーティン虹太で言い争いが始まる、皆、慣れないダンプの荷台という場所の上に、もうすぐ書かなければいけないというプレッシャーにやられ始めていた。


「もういい、俺が決める」


ウンザリした晴斗が声を上げると、指を折りながら言葉を考え始める。


「6文字だからね、三次は運転手だし」
「おう、わーってる」


だが、いい言葉が浮かんで来ない。
< 272 / 293 >

この作品をシェア

pagetop