サワーチェリーパイ
「hey! ソコノgirl! 」


軽やかな声でオープンカフェの席から、道行く可愛い女の子に声を掛けまくっているスーツ姿のイケメン。


「Please hear the section chief story! 」
(課長、お話を聞いて下さい! )


向かい側に座る金髪美人に叱られると、おおげさに手を上に上げる。


「ジェニー、ダイジョーブ」
「oh……」


マーティンは、外資系証券会社のアジア投資課の課長になっていた。


高校を卒業してすぐにアメリカに戻った彼は、コロンビア大学の経済学科に入学すると飛び級を繰り返してわずか2年で卒業をし、ウォール街でトレーダーとして活躍。


その後日本に再来日し、今の職についている。


はた目から見れば、輝かしい活躍だが、その間に起こした女性問題は数多く、社内では
「Lady-killer's Martine」と、素晴らしいアダ名を頂戴していた。
(女たらしのマーティン)


「ニホンジンイイネー、カワイー」
「It is already excellent」
(もう結構です)


怒りが頂点に達した金髪美人が席を立つと、あわてて追い掛ける。


「キミガイチバン! 」


そう言って、オープンカフェで派手なキスを繰り広げた。
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