サワーチェリーパイ
荻久保警察署2階の生活安全課。
「警部! 先日発生致しました窃盗事件についての書類です」
「ありがとう」
スーツ姿で静かに微笑む彼は、周囲の騒ぎをよそに書類を手に取るとパラパラめくり始める。
「お前なあ、いい加減にしろよ。これで何度目だ、万引きは! 」
「オトーさん、いいですか? 奥さんも子供も皆心配してるんですよ、家に帰りましょーよ」
「例の強盗犯、ウチの管内だってよ」
彼の座る席には『係長代理』と書かれた札が置かれ、その脇には昇進試験の本が山積みになっている。
「早瀬警部、勉強は進んでますかー? 」
副署長自らお茶を出すと、書類から顔を上げて何か? という表情になる。
早瀬 佳久は今、警察官僚のエリート街道を一直線に進んでいた。
目指すは父と同じ警視総監、彼の歩く道には何ら障害が感じられない。
「おかげさまで、ゆっくり勉強出来ます」
「そーですかー」
モミ手をしながら副署長が下がると、席を立って万引きをした学生の目の前に立つ。
「いいかい? 万引きは立派な窃盗にあたるんだよー」
笑顔でそう告げると、取調べにあたり始めた。
再び彼のデスクに目を戻すと、そこには『現場第一主義』と書かれた小さな額が飾られている。
「警部! 先日発生致しました窃盗事件についての書類です」
「ありがとう」
スーツ姿で静かに微笑む彼は、周囲の騒ぎをよそに書類を手に取るとパラパラめくり始める。
「お前なあ、いい加減にしろよ。これで何度目だ、万引きは! 」
「オトーさん、いいですか? 奥さんも子供も皆心配してるんですよ、家に帰りましょーよ」
「例の強盗犯、ウチの管内だってよ」
彼の座る席には『係長代理』と書かれた札が置かれ、その脇には昇進試験の本が山積みになっている。
「早瀬警部、勉強は進んでますかー? 」
副署長自らお茶を出すと、書類から顔を上げて何か? という表情になる。
早瀬 佳久は今、警察官僚のエリート街道を一直線に進んでいた。
目指すは父と同じ警視総監、彼の歩く道には何ら障害が感じられない。
「おかげさまで、ゆっくり勉強出来ます」
「そーですかー」
モミ手をしながら副署長が下がると、席を立って万引きをした学生の目の前に立つ。
「いいかい? 万引きは立派な窃盗にあたるんだよー」
笑顔でそう告げると、取調べにあたり始めた。
再び彼のデスクに目を戻すと、そこには『現場第一主義』と書かれた小さな額が飾られている。