サワーチェリーパイ
せめて、離れ離れになるのなら卒業式には告白しようと思っていたけれど、樹は後輩達に群がられて、何も言えないまま東京に見送るしかなかった。


地元の市立高校に通いながら、あたしは毎日樹が何をしているか1人心配で落ち込んでばかり。


いっその事、学校を辞めて東京に行ってみたい。


でも、無理な話だ。


家は転勤の無い自営業だし、それに樹を追い掛けるためだけに、親が東京に出してくれるはずが無いから。


ブログの記事は、遠くに居る樹に対する思いばかりがつづられて、読者も減ってしまった……。


毎日毎日、溜め息ばかり。


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