サワーチェリーパイ

校門の前に到着すると、皆、一斉にバイクを乗り捨てて、三次も運転席を職人に譲る。


「早くしろー、もうすぐ閉めるぞ！　」
「うぃーっす」


現実に鬼が居たらこんな顔であろうという教師が、竹刀を持って生徒達を追い込む。


「三木センセーおはようっす」
「おう、大城！　お前は免許取ってからにしろよ」
「へいへい」


教師も西工業の生徒をよく知っているだけに、バイクや車での通学には「言ってもムダだ」とばかりに目をつむっている。


それもそうだろう、あちこちの窓ガラスが割れたボロい校舎を見れば、ここがどんな学校か誰だって分かるはずだ。


足を踏み入れると、すぐに目に付くのは『天下一武闘会ランキング』と書かれている大判の紙。