サワーチェリーパイ
「親が離婚してて、それぞれ1台ずつ送って来たんだ」
「へー、金持ちなんだなー親」
「藤川は、この年で1人暮らししてるし。色々あるんだろ」


駿府はそう言い、なんでもない顔をした。


彼に取って、陽生はただのクラスメートであり、他人の事には余り干渉しない主義だからだ。


晴斗はワクワクしながら、自分の携帯を取り出して早速準備をした。


「じゃ、メインのヤツ教えてよ」
「ああ」


互いの携帯を向き合わせ、赤外線通信を始める。


晴斗には、見えないはずの赤外線が自分と陽生をつなぐ『赤い糸』に見えた事だろう。


「spring-has-comeネー」


のぞきこんだマーティンが、感心した様に呟く。
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