サワーチェリーパイ
御花台では、生徒全員がライバルで、特に女子生徒はその意識が強い。


編入するなり、国語で1位を取った陽生は、彼女達からにらまれている。


『1人だけスラックスなんて変よね! 』
『何あの子、いきなり来てさー』


当然、友達と呼べる存在はあまり作れず、孤独感は増すばかり。


地元の友達とのメール回数も減って来ており、自分の存在感の薄さに寂しさを募らせながら、部屋に到着した。


「ただいま」


誰も居ない部屋で電気をつけて、コンビニで買った弁当を食べる。


そして、パソコンに向かい原稿を書き始めた。


今はこうするしか無いんだと、自分に言い聞かせながら。
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