サワーチェリーパイ
そんな様子を見ていた早瀬が、口をはさむ。


「不器用すぎるよ、晴斗は。第一、藤川から送られて来た内容をそのまま送信してるなんて、有り得ないね」
「でもよぉ、下心をみすかされないためには、必要だったんだよ」
「バーカ」


2人の会話を一言で三次は終らせ、着信した電話に出る。


「ああ、今度行くって言ったろ、うん」


ホステスからの営業の電話らしい、嬉しそうな顔をしていないのを見ると興味が無いのだろう。


「モテるね、三次は」


歓迎の儀式を終えた陽生が話しかけて来ると、彼にしては珍しく照れくさそうに頭をかく。


「ミズショーだけだけどよ。なあ、お前はどうなんだよ? 」
「全然、ウチの学校じゃまず無いから」
「そう、恋愛よりも勉強だからね」
「おめーに聞いてねえよ駿府。勉強してろ」


席につくと、陽生は考え込んでいる晴斗の肩を叩いた。
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