サワーチェリーパイ
晴斗はそれだけで、心臓が100m猛ダッシュ後の様になる。


「さっきから何を悩んでるんだ? 」
「あー、俺さ……」


言い出せない彼に、虹太が助け舟を出す。


「こいつさー、好きな子が居るのに言い出せないんだよ」
「へぇー、どんな子? 」


普通であれば、ここがチャンスだ。


しかし、万年妄想病に悩まされている晴斗には、そんな度胸が全く無い。


今日もまた妄想クリニックのドアをノックし、診察室に入ってしまった。


『ここで俺が陽生を
 タイプだって言った
 ら終わりだ。俺はバカ
 だし、その上メールも
 ヘタだし、好きでも
 無い子にホレられてる。
 バレたら二股じゃんって
 嫌われるだろ、だったら
 今の関係を壊すのはいい
 方法じゃないですよね、
 先生? 』


もう、お大事にとしか言いようが無い。
< 76 / 293 >

この作品をシェア

pagetop