サワーチェリーパイ
「晴斗クン、さあ、コレでも食べて元気出してよ」


先程のマサヨがパート時間の終了と共に帰り、交代で現れた若くて可愛いウェイトレス磨朝がやって来て、晴斗の目の前に真っ赤なチェリーを上に乗せたパイとコーヒーを置いた。


そんな磨朝を見て、マーティンが声を上げる。


「マーサ、キョウモcuteネ! 」
「ありがとー、マーティン」


2人が親しげに会話をしているのを横目に見ながら、三次は軟派野郎と言わんばかりのあきれた顔をした。


彼には、素直に相手をホメちぎる外人の気持ちが理解出来ないから。


その様子を無視するフリをしながら、三次は晴斗へと語りかける。


「なあ、晴斗。お前は女にモテないんじゃない、妄想のし過ぎなんだよ」
「俺はだな、ちゃんと付き合いたいから、後の事を考えるだけで」
「前にもあったろ、手ぇ握っただけで『子供の名前は何にしようか? 』って言ってフラれたの」


そう、晴斗はもの凄い妄想癖の持ち主だから。
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