サワーチェリーパイ
確かに晴斗からは、嫌な色のオーラの泥沼がモンモンとわいていた。


三次は携帯の着信音である『任侠なき戦い』が流れたのをいい事に、表へ飛び出して行く。


その後ろ姿をポーッと見送る陽生に、ハァァーっと溜め息をつく晴斗。


自分がホレた女の子が、親友にひかれていたら、当然の成り行きだろう。


「晴斗、一つ頼みがあるんだけど」


早瀬の言葉で、我に返り顔を上げる。


「何だよ、メガネっ子」
「メガネっ子という呼称は正しくない、眼鏡の早瀬と呼んで欲しい」
「理屈っぽいんだよ、お前は」


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