お姫様に誓いのキスを2



「出来た……!」

クリームを塗り始めてから30分。やっと塗り終わった。

…いびつ…。

やっぱり下手だなぁ…。でも…これが私なんだ。

王子様の前では…仮面なんて付けたくない。

本当の私を見てほしいから。




教室までゆっくりと歩く。心臓は張り裂けるみたいに激しく動く。

受け取って貰えるだろうか?

本当の私は怖がりだ…。

王子様の《お姫様》ってポジションが無いと不安でたまらない。

これが《女の子》なんだね。中島さん達は…強いね。



教室のドアの前、深呼吸して気合いを入れた。

「よぉ〜しっ…!」

ガララッ

ドアを開け、中に入る。………教室の中には王子様の姿があった。

「…やっと来た…って、どうしたんだ!?」

私の姿を見て焦っている。…よく考えたら粉だらけかも…。
< 8 / 11 >

この作品をシェア

pagetop