抹茶飴。
まっすぐに落ちていく体。

スローモーションみたいにゆっくり落ちていく。

先輩たちのいる教室を過ぎて、自分の教室の高さまで落ちる。

授業中の教室の窓から何人かが僕を見た。

後輩の階に落ちる前に何かにぶちあたる。











グシャ










木の上に僕はつぶれた。

自分の教室とはそう遠くない高さ。

先輩たちと僕のクラスメイト達が僕を見下ろし、悲鳴を上げる。

そう。

これでいい。

これでいいんだ。

やっと終わったんだこの悪夢が。




目が覚めるとそこは天国じゃなかった。

薬品の匂いがつーんと鼻にしみる。

真っ白な天井にベット。

僕を取り囲む白い布。

僕はため息を吐く。

━━生きてしまった…

身体中のあちこちが痛い。

それが今僕が生きている何よりの証拠だった。

「死んでしまえれば楽だったのに…」

僕のはいた言葉を誰かが布の向こう側で笑った。

「誰?」

僕は声を張り上げるだけしかできない。

体が痛みで動けないのだ。

「命を無駄にしてそーんなに楽しい?」

布を開いて僕と同じ年ぐらいの女子が首を突っ込む。

色白で長いまつげに大きな目、真っ黒な長い髪が肩から滑り落ちる。

それはとても綺麗な子だった。

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