抹茶飴。
その後もよく見ると先輩はおもしろい人だと思った。

居眠りをしていて、机に付いていた肘がずり落ちたのに驚いて起きたり。

本を閉じるときに間違えて指を下敷きにしたり。

椅子の脚にもつれて転んだり。

何だか憎めなくて、可愛らしいと思ってしまった。

いつのまにか友達と昼食を食べなくなり、日向先輩の近くで食べるようになった。

「日向先輩っ!今度遊びに行きましょうよ!」

「私バイトあるから」

さらっと流される俺の言葉。

それはいつものことで、俺も無駄とわかっていながら声をかけている。

昔は返事なんかしてくれなかったし、俺のことも見てくれなかったのに。

これでも進歩したものだと俺はあきらめる。

「あ、じゃあバイト先教えてくださいよ」

少しでも先輩に会いたくて、俺は身を乗り出した。

「あんたに教えたらしつこそうだからイヤ」

俺を見る先輩の目は冷たい。

「そーですよねー…」

ほろ苦い昼休みも終わり、先輩と別れて授業を受ける俺。

どーせ、先輩とは遊べないし。

いつも時間を弄んでるし、お金もほしい。

万が一、先輩といつか遊べることがあった時のためにも俺もバイトでもするか。

一人授業も聞かずにうだうだと考え事をしていると、先生にあてられ、答えがわからず皆の前で恥をかいてしまった。


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