抹茶飴。
高三になって、私たちは受験生になった。

私は家庭の事情で進学することができず、就職することになった。

「あなたがいなくなっちゃうのは寂しいねー」

藤村さんに事情を話すと、彼女は残念そうに言った。

「まぁ仕方ないですよ。来年の三月にはここをやめさせてもらいます」

私が藤村さんと話していると安原くんが顔を出した。

「何の話し?」

「あぁ、来年私バイトやめるんだ」

「え、なんで?」

「就職するの。だから来年でさよならだね」

自分で言っててなんだか悲しくなった。

もう会えないと確信できてしまったから。




それから何ヵ月かして、私は飲食店に就職が決定し、彼も無事に大学に合格した。

時は流れ、三月になる。

藤村さんが私のためにお別れ会を開いてくれた。

もちろんそこには彼も参加していた。

みんなが私との別れを悲しんでくれた。

最後だからとみんなで大騒ぎした。

お別れ会の途中で安原くんがカメラを持って私に声をかけてきた。

「最後に。記念写真とろ?」

少しぎこちなく彼は笑った。

私もうなずいて安原くんの隣に立つ。

セルフタイマーの音が鳴る。

カメラを見つめてピースをする彼の耳にしか聞こえない声で私はつぶやいた。

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