抹茶飴。
「ずっと前から君のことが好きだったんだ」

その言葉とともにシャッター音が鳴った。

驚いた顔をする安原くんから逃げるように離れて、私は消えた。

それが私が彼に言った最後の言葉になった。





それから四年ほどたって私は自分の店を開くことになった。

私は藤村さん達にこの事を話そうと、あの懐かしいバイト先に足を運んだ。

「へー。あなたが店を開くなんて!いつか遊びに行くね」

藤村さんは笑ってそういってくれた。

安原くんはもう大学を卒業して就職してしまったらしく、店にはいなかった。

やっぱ会えるわけないっか。

私はあきらめて自分の店に戻り、開店の準備に取り掛かった。

店の看板を出していると後ろから誰かが声をかけてきた。

「ここ、もう開いていますか?」

「すみませーん…。まだなんです」

後ろを振り向き、私は目を疑った。

髪型もかわり、服装もスーツになり、大人らしくなった彼が目の前にいた。

「よっ!久しぶり」

変わらない彼の口調。

私は今まで堪えてきた涙をついにこぼしてしまった。

「なんだー?泣くほど嬉しかったか?」

「るっさいバカ。」

お互いに姿形は変わっても、変わらない中身と口調。

心だけがあの時に帰った気がした。

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