いつも桜が綺麗です。
ふと流れるのはさっきまでとは違う涙。

「土方さん。私も今もあなただけを愛していますよ。」

わたしはふっと思いつく。

そうだ。

この着物を代々伝えよう。

私の子孫に。

あの、少女に。

「そうすれば、歳三さんも私の着物姿をみてくださいますよね?」

ふっと肩に微かに感じるぬくもり。

「ここにいてくださるんですね」

さあ、今から忙しくなるわね。

もう泣いている暇なんてないもの。

「土方さん。わたしも今できることをしますね」

そう言うと応という様にひとひらの桜が舞い散った。
< 9 / 14 >

この作品をシェア

pagetop