『はちみつゆず~キミと過ごした時間~』

重い足取りで家まで帰り、

ドアを開けた。

かず兄は、
すでに仕事から帰って来ていた。

『柚姫。おかえり!』

『ただいま…。』

『病院どうだった?
 普通の風邪か?
 それとも疲れ?』

かず兄に聞かれて、
すぐに答えられなかった。

黙り込んで下を向く私に
ただ事ではないと思ったのだろう。

眉間にしわをよせて
真剣な顔をするかず兄。

『どうした?
 その様子だと、
 ただ事じゃないみたいだな?』

私を抱きしめて、
優しく頭を撫で始めた。

『大丈夫。
 俺は、どんなことがあっても
 柚姫のそばにいるから。』

< 82 / 118 >

この作品をシェア

pagetop