【短】青に溶ける


 お父さんが喜ぶのが、一番信じられなかった。











 私は要らない存在になった。










「じゃあテメェは何願ったんだ」
「……今言っても無駄だもん」
「じゃあさっさと死ね」



 俺は忙しい、と、カミサマはもう一度言った。










 私の心とは裏腹に、空は高くて、清々しい。

 気持ち良さそうに鳥が飛んで、雲が流れる。

 高さのせいか、騒音さえも耳には優しい。



 私が死んでも、きっと、この空気も、風も、音も、何も変わらないんだろう。

 今まで流れてきたように、これからも永遠に。



 どうしようもなく、涙が流れてきた。



 私の存在なんて、それほどちっぽけなものでしかないんだ。

 居なくなっても、何も変わらない。

 お父さんとあの女は、新しい子供がいる。

 やっぱり私は要らないんだ。






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