【短】青に溶ける


「じゃあ、もう大丈夫だね」
「……ぇ、」



 カミサマから発せられた声は、穏やかで、透き通るようなものだった。



「生きたいなら生きなよ。今飛び降りたら、後悔しか残らないよ」
「………。」
「取り返しの付かない後悔を、地獄と呼ぶんだよ」





――お前は死にたいんだろ?




 カミサマの言った言葉はとても当たり前だった。

 目付きの悪いカミサマは、笑っても、言っている事は変わらない。



「生きてみなよ。もう一度」




 涙は止まった。







 空は、やっぱり清々しい程青い。









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