星に願っても…。




「マサキ…?それって…。」





強く、きつく、私を抱きしめていたマサキの腕が少し緩んだ。





「ん?昔話だよ?」





「マサ…キ。」





マサキは泣いていた。





「最初、男の子は死んじゃった女の子とその夜見つけた女の子を重ねて、心の穴を埋めようとしたんだけどね?



それは、無理だったみたい。




でもね?二人を重ねなくても、心の穴が埋まらなくても、心は温かくなっていくのが分かったんだって…。



だから、今ではその女の子のことが大好きで大好きでしかたないんだって。」






「なんで、マサキが泣くの…。」






マサキは私と目もあわせないまま言った。






「お医者さんになた男の子いたでしょ?その子ね、死んじゃった女の子のこと、大好きだったんだって。もちろん友達として好きだったのもあったんだけど、もっと特別な気持ちだったんだって。



でもね、その気持ち伝えられないままだったんだって。」







マサキはにこっと笑って私を見た。




「好きだって気持ち、ちゃんと伝えないといけないんだね。トワもきっと分かってると思うんだけどなぁ…。」






「マサキ?」





「ん?」





「私、トワと一緒にいる。ずっと一緒にいる。」





「うん。」





マサキの笑顔はいつも心を温かくしてくれる。
< 104 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop