星に願っても…。
「すみません。いきなり…。」
「いやいや、そんなことはいいんだけどさ…。」
篠咲さんはコーヒーを淹れながら俺に問う。
「なんでいきなり?どうかしたか?」
カンっと陶器と陶器がぶつかる音がして、コーヒーが香る。
キラが淹れるコーヒーと同じ匂いがした。
「あの…。矢野ユウヤという男のことで…。」
「なんか聞いたことある名前だけど…。」
「キラの幼馴染です。」
「……。」
篠咲さんは静かにコーヒーカップをテーブルに置く。
ふぅっと一息ついて篠咲さんは口を開いた。
「会ったのか…?」
「はい…。」
「消すのか?」
「それは…まだ…。」
「そうか。」
「篠咲さん。矢野ユウヤの情報ください。お願いします。」
篠咲さんの目は一点をみつめたまま黙ってしまった。
「ちょっと待ってろ。」
そう言って篠咲さんは自室へ消えて行った。