星に願っても…。
「キラちゃんの記憶がなくなった理由は知ってる?」
マサキは落ち着いた話し方で問いかけてきた。どこか遠くを見ているようだった。
「うん。鉄パイプの山が崩れてきたんだよね。」
ただ、それだけ。どこでそうなったのかは知らない。
前に
「崩れてきた鉄パイプの下敷きになっちゃってそのまま病院に運ばれたんだ」
とトワはそれだけ言って今日はおしまいと頭をくしゃくしゃとした。
そのときは話の続きが知りたくて知りたくてしかたがなかった。
「うん。そうだね。キラちゃん頭うっちゃったみたいでさ…。」
マサキが話を続ける。
話の続きを聞きたいはずなのに耳をふさぎたくなる衝動にかられる。
「その鉄パイプ、ここからは少し遠いところにある倉庫にあったんだ。キラちゃんはトワを追いかけてそこにたどり着いた。」
やっぱり何も思い出せない。
「トワはその倉庫で汚い人間の処分をしてた。」
「え…。」
汚い人間の処分って…。
「人を殺してた。」
「は?何言ってんの?マサキ頭おかしくっ」
「ちゃんと聞いて。」
私の言葉を遮るようにマサキが言った。
「むり…。むりだよ…。」
頭の中はごちゃごちゃで…。トワは…。トワは……。
トワが私の隣に座った。
「ごめんな。キラ。聞いてくれ。」
震える私の手をとり静かにそう言った。
「マサキ、続けていいぞ。」
トワがマサキに言う。
「トワは闇の掃除人なんだ。」
闇の掃除人。テレビで前に見た気がする。
闇の掃除人は最近姿を消したようだ。と…。
「キラちゃんは夜、頻繁に外出するトワのことが気になって後をつけたんだ。で…。キラちゃんは見てしまった。トワが人を…。撃ったところを…。」
「もうやめて!!」
私は叫んだ。
「やめない。」
マサキの低く真剣な声がした。