星に願っても…。




「また、闇の掃除が現れました。」




あ…。また言ってる…。


少し古びたテレビの向こうでアナウンサーが淡々と話していた。




「あ、また闇の掃除人だって。キラちゃん知ってる?」



このカフェの常連の自称小説家のハナちゃんが私に聞く。



知ってるもなにも、それ私なんですけど



と思いながらコップをふき、同時にハナちゃんの質問に対しての返事もした



「あぁ…。なんか最近よく見るよね」




「そうそう、なんかさ、闇の掃除人ってダサくない?誰がこんなだっさい名前つけたんだろうね。フフッ闇の掃除人さんたちちょっと気の毒だよねー」




「えぇ?」




普通、闇の掃除人ってこわいよねー。とか、いい人なのか悪い人なのかわかんなーい。とかそんなことを話すんだろうと勝手に思い込んでいたから


闇の掃除人は気の毒発言には少し驚いた。




「え?だってダサい名前勝手につけられちゃってさ…。かわいそー」




「アハハッそぉだね」




ホントにそう思う。迷惑してるんだよね。とはさすがに言えないけれど、そんな風に思ってる人もいるんだ。おもしろい




「あ、そぉいえばハナちゃんは周りの人からなんてよばれてるの?」




「あぁ、ハナとかハナちゃんとかかな?そっちは?」




「キラ、キラちゃん…。」




「ほら、やっぱりみんなワンパターンだよね。あ、ちなみに…。キラってキラちゃんのこと呼ぶ人って誰?」




なぜかハナちゃんは目をキラキラさせていた




「んー。トワとマサキ…。あ、マサキは違う。お兄ちゃんだけ。あ、もう一人知り合いのおじさん。」




というか、友達が極端に少ない私にとって私のことを呼び捨てにする人なんて他にいないし…。




「お兄さんがトワさん?」



「うん。」




「じゃぁ、マサキってひとは恋人?」




「はぁ?」




なぜ、女子はみなそこへつなげたがるんだろう…。

ま、私もだけど…。


なぜ、恋愛の話にもっていきたくなってしまうんだろ…。




「はぁ?ってなんでよぉ。男との間に友情なんてうまれませーん」




「たしかに…。私をそう思う…。けど!マサキは違うよぉだってマサキだもんアハハッ」




マサキが彼氏だなんて考えただけで笑える




「ないないと思ってたタイプが実はドストライクだったりするのよ」



私と腕を組んでいるマサキを想像する…。



うん。普通に腕組むけど…。買い物行くけど…。




ほら。すぐに荷物持ちに変わっちゃったよ…。




私の頭の中のマサキは、荷物を落とさないよにバランスとって右へ左へ…。





「ないないないない」




マサキはない。




カランカラン…。クシュンッ




「あ。噂をすればってやつ」




カランカランと扉をあけて入ってきたのはマサキだった




「え!あれがマサキさん?」




「うん。まぁ」




「キラちゃん…。どぉしよ…。」




マサキはハナの隣にいきなり座りカウンターごしに手をのばしてきた



その手にコップとフキンを渡して




「はい。どぉぞ」



と私はいった。




「うん…。あのね。」




マサキはコップをふきながら話を進めた




「あ、ハナちゃんごめんね。いきなり…。」




きょとんとした顔のハナちゃんに一応あやまっておいた




「あ、ごめんなさい。いきなり入ってきちゃったみたいでアハハ…。」




マサキもハナちゃんの存在にやっと気付いたのか挨拶をした




「え、いえ。全然」




いまだにハナちゃんはきょとん。




「ハナちゃーん?大丈夫?」





「あ、うん!キラちゃんのマサキさんってすごくかっこいいね!」




「「ん?」」




マサキも私も“キラちゃんの”という一言にひっかかった。




「わぁ。二人とも息ぴったり」





「ハナちゃん?なに言ってんの?私のマサキってなに?」





「マサキさんってキラちゃんの彼氏でしょ?」





「あちゃぁ。どこでそうなってそこまでたどり着いたんだろう…。」




女子の思いこみとやらに拍手をしたいほどだ。




「え?」




「アハハハハッ」



マサキが笑いだした




「いきなりそんなこと言われたの初めて!」




「うんうん。私も初めてだよ。ハナちゃん」




「えぇ?ちがうんですか?」




「そんな残念そうに言わないでよ」




ハナちゃんの顔を見ると私が悪いことをしたみたいな気持になる。


< 20 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop