星に願っても…。
「キラ?」
トワは新聞を読みながら名前を呼ぶ。
「ん?」
「俺、キラの店行きたい」
「嫌だ。」
なに言ってるの?今から店開けろっておかしいでしょ…。
休みだっつーの。
「行こ行こ!」
「え?耳大丈夫!?」
トワは新聞をたたんでコーヒーカップを片づける。
ソファーで寝ころんでいた私の分のカップまで…。
「ねぇ!だから行かないって!今日は休業日でーす。おやすみでーす。」
「そんなこと俺に関係ないし。」
「え?は?なに?どーした?いきなり俺様発言?!」
「ほら。行くって決めたんだから行くんだよ。めったに俺、休みないんだから」
私の部屋に消えていったトワは1分もしないうちに私のジーパンとシャツとパーカーを片手に帰ってきた。
「それ、仕事用なんですけど…。」
「仕事だろ?ほら着ろ。」
ドサッ
ひんやり冷たい服たちが私の顔に覆いかぶさった。
「嫌だーー。」
「俺が着替えさせてやるよ。」
そう言って私のスエットに手をかけようとしたトワ…。
「変態!セクシャルハラスメント!!訴えてやる!!!」
「じゃぁ、自分で着るんだな?」
「着ない!だから今日は休みだって言ってるじゃん!」
「今日の夕ご飯どっか行こうかと思ってたけどやーめた。」
え?!どっかって?!どこ!?
「どこ行くの!?イタリアン?フレンチ?和食?」
「さーな。お前が店開けるっていうなら教えてやる」
なんて卑怯な奴なの…。
「お願い!教えて!」
「教えなーい。それに、お前が店開けなきゃ今の話は、なし!」
「…。……ます…。」
「へ?」
「ぁけます…。」
「ん?」
「店、開けます!!!」
「よし。じゃぁ教えてやる。あ、でも…。やっぱ向こう行ってからな。サンドイッチを一口食べたら教えてやるよ。」
…死んでしまえ…。
「ほら。着替えろ。」
「ちょっと待って…。ホントにいいとこ連れてってくれる?」
これで、やっすいとこだったら元も子もない。
「うん。もちろん。いいとこだよ。キラが好きなとこ。」
「じゃ、じゃぁ…。」
「よし。じゃぁ俺も用意してくる。」
そう言ってトワは自室に消えた。