星に願っても…。
「…ぃ。おい。矢野ーー。」
「へ?あ、はい!」
上司の坂下さんの顔があった。
「お前どうした?なんか最近ボーっとしてるな。」
「いえ、大丈夫ですよ。」
「そうかぁ?ま、あいつらも最近、何もしねーしここらで一杯行くか?」
“あいつら”というのはもちろん大野キラと大野トワのことで…。リナのことで…。
まだ、誰も犯人の名前さえ知らない。ましてや、俺がその犯人に接触しているなんて知るわけない。
「はい。」
一人で家に帰るとリナのことばかり考えてしまう。たまには忘れて楽になりたい。
「おう。じゃぁ、いつもんとこでいいか?お前予約しとけ。」
「はい。あ!もちろん奢りっすよね?」
「お前なぁ…。しょうがねーな」
「ありがとうございまーす」
坂下さんは手をひらひらさせ、最近気になっている女の子がいる地域課へ消えていった。
「はぁ。しっかりしなきゃな。」