星に願っても…。
「俺はな…。決めたんだよ。あの時…。丘本ちゃんを手にいれると!!」
ビール片手に坂本さんは熱く語る。
「はい。この前は島谷ちゃんをって言ってましたけどね…。」
この前は焼酎片手に島谷ちゃんを!と語っていた。
「そぉだ。あの時は島谷ちゃんだ。でも今は丘本ちゃんだ!!」
「はい。で、どうなんですか?最近、毎日通ってるじゃないですか。地域課。」
「そうだ。毎日通ってるよ。あのむさくるしい安西のいる地域課に!」
安西さんは地域課長。中肉中背のおやじ。若い子からはバーコードと言われている。ま、見た目のまんまのあだ名。
「バーコードはげ。あいつさえいなくなれば!俺は丘本ちゃんと!!」
ビール瓶をもつ。
「はいはい。飲みましょう飲みましょう。」
ビールとつぐと、坂本さんは立ち上がりそこそこ大きな声で
「おう!!明日こそ丘本ちゃんにOKもらうぞ!」
と…。
絶対無理だ。うん。絶対。
「あ、そういえば…。」
「なんですか?次は何ちゃんですか?」
「違うよ。何ちゃんでもない。あいつらだよ。闇の掃除人だよ。」
「…あぁ。」
「あぁ。じゃないよまったく。最近何も事件を起こさない。どうしてだと思う?」
「どうして…と言われましても…。本人じゃないんで…。」
「まぁな…。でも、前にもあったんだよ。」
「前にも?」
「闇の掃除人が一人だった頃。お前も知ってるだろ?一回こういう時期あったんだよ。全く事件が起こらなくなったことが…。
それで、いざ事件が起きたと思ったら二人になってたんだよ。ま、ほんとに二人なのか今だに確信はできねーけどな?」
その二人目がリナってわけだ…。
殺害の手口から二人だと仮定されている。
俺の中では二人だと証明されたけど…。
「じゃぁ、次は三人になるってことですか?」
「さすがにそれはないと思いたいんだけどな…。ま、三人になろうと捜査はするんだし、むしろしっぽつかみやすくなるかもしれねーし…。」
「こっちにしちゃ、好都合って感じですか?」
「んー。なんとも言えねぇな。いや、でもな。なんか変な感じするんだよ。」
「はぁ…。そうですか…。長年の勘ってやつですか?」
坂本さんの勘は当たるんだろうか…。
「そんなとこ?ま、気にすんな。」
「言われなくてもしませんよ。」
「そぉか。あっはっは」
坂本さんは顔にしわをつくりながら笑った。
その後も、いろんな話をして、飲んで飲んで飲んだ。
でも、やぱっり…。リナのことを忘れることはできかった…。