星に願っても…。
第五章
電話(ユウヤside.)
「もしもし。大野です。大野キラ。」
「あ、はい…。」
いきなり向こうからかかってきて驚いた。
向こうは俺になにも興味がなくてただの客だとしか思ってないんだと思いこんでいた。
「あの、お仕事、お忙しいですか?」
「え、いや、」
「あ!すみません!こんな時間でしたね!ほんとうにすみません!」
受話器の向こうからは焦った声が聞こえる。
時間も忘れるくらいの出来事があったとか?
「いや、大丈夫だよ。で、どうしたの?」
「あの…。近々、お暇な日ありますか?」
暇な日…。
最近、ずっと仕事場にこもりっぱなしなんだけど…。
「あ、うん。あるよ。」
大野キラと接触するために開けておいた日があった。
「ホントですか!?あの、もしよかったらお会いできませんか?」
「あ、うん。いいよ。28日だけど、そっちは大丈夫?」
「はい!私、基本暇なんで…。」
アハハッと笑い声が聞こえた。
「そっか。じゃぁ。また近くなったら場所とか時間とか教えて?」
「はい!ありがとうございます!こんな時間にすみませんでした。」
「ううん。全然大丈夫。じゃ、また。」
「また…。」
少しの沈黙のあと、ガチャという音がして電話が切れた。
こっちとしては向こうから連絡がくるなんて好都合なんだけど…。
なんでいきなり…?