星に願っても…。
「私のことずっと昔から、このカフェで会う前から…。ご存知ですよね。」
ユウヤさんの笑顔が消えた気がした。
さっきまで流れていたジャズが聞こえない。
時計の秒針の音だけがチクタクと時を刻んでいく。
いつもより大きな音でハッキリと…。
まるで、一秒一秒を体に刻みこまれているような感覚。
「知らないよ。」
ユウヤさんがそう言うと同時に、ジャズは流れ始め秒針の音はいつもの大きさに戻った。
「あの朝、ここで会ったのが初めてだよ?あ、もしかしたらどこかですれちがっていたのかな?」
さっき、一瞬消えたと思ったあの笑顔は今も私の目の前にあった。
優しい笑顔。
でも、夢の中の笑顔とは違う笑顔。
「ユウヤさん。嘘はつかないでください。」
今の笑顔は違っても、初めてここに来たときのユウヤさんの笑顔は夢の中の笑顔と全く同じ。
「嘘?」
「私の夢に出てくるんです。ユウヤさんが。ずっとずっと見続けてきた夢です。男の人が二人と私が出てくる夢。男の人二人の顔がどうしても分からなかったんです。でも…。」
その続きを口にしようとした瞬間、頭の中が真っ白になって…。
その場に倒れた。
「キラちゃん!!」
ユウヤさんのその声が頭に響いたと思った瞬間、私は意識を手放した。