星に願っても…。
「あぁぁぁ!帰る!」
「はいはい。」
今日は嫌なことしかなかった。
頭の隅にはタクが本当に遠くへ行ってしまうんじゃないかなんてバカな考えがある。
………。
ホントは頭の中をぐるぐる回って一秒たりとも消えてくれない。
自分に嘘がつけたならと今日一日でどれだけ思ったことか…。
「おい。リナ。大丈夫か」
「ん?大丈夫だよ?どぉした?」
「いや、別に。なんかこわい顔してたから…。」
「あぁ。大丈夫。うん。大丈夫。」
あ、また嘘ついた。
心がズキズキ痛む。タクが…。タクが…。と焦る気持ちでいっぱいだ。
「タクが…。」
心で思っていたことが口に出た。
「タクがどぉかしたか?」
「タクが…。タクが…。」
足がガクガク震えて立ってられない。
「おいっ」
ユウが抱きかかえてくれなかったらコンクリートの地面に倒れこんでいた。
「タク…。タクが遠くにいっちゃう!」
言おうと思ってないことが声となっていく。
「リナ!しっかりしろ!リナ!」
「ハァハァ…。」
息が苦しい。
「タク…。ハァハァ…。」
ユウにもたれかかっていないと立っていられない。
そんな私をユウは抱きしめて
「大丈夫。大丈夫。」
と言ってくれる。
でも…。意識が遠のいていく。
「タク…。」
タクが遠くへ行ってしまう。