星に願っても…。
第七章
自分のため(トワside.)
ベットに寝転がり、天井を見上げる。
頭の中では今日あったことが鮮明に蘇る。
今日、家に帰ると、見知らぬ男がいた。
男は俺のことをみるなりソファーから立ちあがった。
その男はずっと固まったまま言葉を発しようとしない。
泥棒?いやいや…。このマンションで泥棒なんて聞いたことないけど…。
セキュリティーは万全のはず…。
それに、もし泥棒だとして、ソファー座って何をしてた?
「あ…の。どちら様で…。」
「あ!すみません!はじめまして。矢野ユウヤといいます。」
その名前はどこかで聞いたことのある名前で…。
記憶の奥底からその名前に関する記憶をひっぱり出した。
「あ…。どうも…。」
ひっぱり出した瞬間、自分の顔からさーっと血の気が引いていく感覚がした。
「僕、キラさんのお店によくお伺いしてまして…。キラさんの知り合い…といいますか…。」
「あ、そうなんですか。」
そんなそっけない返事をするので精一杯だった。
「あ、帰りますね!!すみません。こんな時間まで長居してしまって…。あの、キラさん、相当疲れてるみたいで…。今寝てます…。」
「え?あ、はい…。」
頭の中はぐるぐるといろんな記憶が回っていた…。
「キラさんのこと、しっかり見ていてあげてください。お兄さん。」
「…。あ…、いやぁはい。頑張ります…アハハッ」
作り笑いして、その場をやりすごすために必死になった。
「じゃぁ…。また…。」
矢野ユウヤが帰った後も、しばらくその場から動くことはできなかった。