コンプレックスな関係
「おい、莉生。手ぇ止まってる」
貴弥の少し不機嫌な声に、思考を呼び戻される。
「早く終わらせたいんだから、さっさと手と頭使えよな」
くっ……!
手伝わせておいてその言い草かいっ。
「この貸し、高く付くからね」
悔し紛れに言ってやったが、貴弥からの返事はなし。
それからしばらくの時間。
私も貴弥もひたすら無言で資料整理に没頭した。
作業を始めて2時間程経った。
「よっしゃ!これで最後ーっ!」
最後の1枚を仕分けると、貴弥が嬉しそうに両手を上げる。
「じゃ、俺は帰る!」
言うか早いか。
貴弥はリュックを片手に、全力で教室から走って出て行く。