コンプレックスな関係


「情けないよね。今頃気付くなんてね」
「莉生さん…」


話し終えると、美和ちゃんが泣いていた。


「こらこら。美和ちゃんが泣くことじゃないって。自業自得ってヤツなんだからさ。こんな話してごめんね。ーさて。そろそろ帰るよ」


腰を上げると、きゅと美和ちゃんがシャツの裾を掴んだ。


いちいち仕草が可愛いコだなぁ…と感心。


「ダメです…そんなの、ダメです!」


きっ、と美和ちゃんが涙目でこちらを見上げていた。


「このままじゃ、お兄ちゃんが図に乗るだけです。一発くらい殴ってもバチは当たらないです!」


きょとん、と言うのはまさにこの時の私だろう。


いきなり何を言い出すんだ⁉


美和ちゃんは泣き笑いの顔で言った。


「莉生さんは優しい、素敵な人です。初めて会った時、莉生さんみたいなお姉ちゃんがいたらな、って思いました。だから、そんな莉生さんを傷付けたお兄ちゃんを私は許せません」
「や、あの?許す許さないの話じゃなくてね?おーい?美和ちゃーん?」


駄目だ。聞こえてない。


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