コンプレックスな関係


「ありがと、美和ちゃん」

笑い過ぎて涙が出た。それを拭いながら私はただ、美和ちゃんに感謝した。


「それじゃ、遠慮なく」


私は、美和ちゃんに後ろから抱き付かれて動けない貴弥に近付くと、微笑んだ。


「おい。いったい何なんーーーってぇ…」


ぱちんと小気味良い音がなった。


私が貴弥の頬を引っ叩いた音。


「莉生!お前何するんだよ⁉」


目を見開いた貴弥を私を睨みつけた。


「何って?慰謝料貰っただけよ。だいたい、何する、はこっちにの台詞なのよ。好きで付き合ってる男に浮気されまくって、こっちがどんだけ泣いたどんだけ思ってんの?」
「はっ⁉良く言うよ。お前一度だって文句言わなかったじゃねぇか」
「文句言ったら貴弥はすぐに私を切ったでしょ⁉」
「それ、は……」
「貴弥が好きだった。だから貴弥に何も言えなかった」


それは間違ってたんだけども。


この際だから、言いたかったことを全部言ってやろうと思って、口を開き掛けた時、貴弥から信じられない言葉か飛び出した。


「え……莉生って、俺が好きだったのか?」

「⁉」

呆然としたような貴弥の呟きにも似た言葉に、私だけでなく美和ちゃんまでが凍り付いた。


「今更そこなの⁉」





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