コンプレックスな関係
第15話
貴弥に言いたいことを全て伝えてから、数日。
私はスッキリしたようで、どこか物足りなさを感じる日々だった。
人の運というのは因果なもので、そんな時に限って、鬱陶しいことが起きるものだ。
「じゃ、カンパーイ!」
私は何をしているんだろうか。
大学に入ってから仲良くなった宮原雪乃に、飲み行こうと誘われて、てっきり女の子2人で飲むのかと思っていたら、連れて行かれたのはオシャレなBAR。
騙された。
そう思った。
その場には、私と雪乃の他に4人の男の子と、2人の女の子。
「聞いてないよ⁉」
席に着く前に、雪乃に抗議すれば、雪乃からは
「いーじゃん!あの最低男と別れたんでしょ!今度こそ幸せな恋愛見つけようよ!」
友人達の間での貴弥の評価が最低なのは何故だろうか。
いやいや。
もう別れたわけだし!
ここでひっそり貴弥の擁護をしたくなるのは、きっと癖みたいなものだ。
気を付けていれば、きっとそんなことも気にならなくなるはずだ。
「次の恋愛はともかく、いっぱい楽しんで?」
笑顔でそうアドバイスをくれた雪乃に、私も笑顔になる。
そうだ。
新しい恋愛とか気にしないで、場を楽しもう。
その結果、新しい恋が生まれるなら、万々歳じゃないか。
そう考え直した時、思い出したのは、陽典くんだった。