コンプレックスな関係

焼き鳥屋で、今度埋め合わせするから、と言ったきり、連絡をしていない。


気になり始めたら、もうこの場の空気なんてどうでも良くて、どうしてるかな、と合コン中にも関わらず携帯を取り出し、メールを打った。


『この前はゴメンね。埋め合わせ、いつにしようか?』


メールの返事が来たのは、合コンもたけなわの頃だった。



周囲では、なんとなく良い空気になってるペアもあって、 二次会に行く雰囲気だったけど、私は頭数合わせみたいな感じになっていた。


相手グルーブの男の子から連絡先を聞かれたけど、社交辞令の域を出てないのは分かった。


だから二次会は断った。


『篠井が大丈夫なら明日の夜。早く会いたい』


そんな陽典君の、真っ直ぐに向けられる気持ちに心が激しく鳴った。


好きだという気持ちを隠さずに真っ直ぐぶつけてくれる彼は、それまで異性からこれほど真っ直ぐに感情を向けられることがなかった私にはとって、救世主のようにも思えた。

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