コンプレックスな関係
第2話
一難去って又一難。
昔の人は本当に言葉の使い方が上手だと思う。
重たい紙の束をなんとか教授に届け、怠い腕を持て余しながら帰宅した私を待っていたモノ。
「莉生ー!お兄ちゃんが帰ってきたぞーーーっ」
玄関を開けるなり、がばっと大きな物体に抱きすくめられた。
「⁈」
突然過ぎて思考が追い付かない。
私の困惑を他所に、抱き付いてきた相手は、私の頭をガシガシと撫でる。
「……嘘、でしょ……」
満面の笑みで私を愛おしげに見つめるその人は。
3年前に九州へ転勤したはずの兄貴。
篠井藍斗(シノイ アイト)だった……。