コンプレックスな関係

「莉生さ、俺がなんでロシア語取ったか知ってるか?」


突然、貴弥がそんなことを聞いてきて、私の頭の中にハテナ?が浮かんだ。


「知るわけないでしょーが。貴弥の履修内容なんて私に関係ないし」


貴弥がどういう未来を願ってこの大学を選んだのか。
それを知ったところで、私に何ができる?

進路選択の時期に彼氏彼女の関係であったといっても、私が貴弥の進みたい道に口を挟むことはできない。


だって。


未来の道はその人だけのものだから。


もちろん学部が違っても、貴弥と同じ大学に行けると決まった時は嬉しかった。
だけどそれは私の自己満足でしかない。


だから私は正直に答えた。


「般教の科目は好みでしょ?貴弥がどんな理由でロシア語を選択したかは知らないけど、貴弥が決めて選んだのなら、それ以上の理由なんてないでしょ」


私は外国語に興味があったから、この大学の文学部外国語学科を選んだ。


進みたい道に進むために、最善を選ぶのは定石だと思うし。

< 121 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop