コンプレックスな関係
「くだらないこと言ってないで手と頭動かしなさいよ。こんな早朝から呼び出したんだから、これで単位落としたとか言ったら真剣に怒る」
呼び出しさえなきゃ、今朝はゆっくりできたのに。
「莉生はレポート終わったのかよ?」
「あ?とっくに提出したわよ。貴弥と一緒にすんな」
「……さすが」
「わかったらさっさとやる!」
貴弥の頭をぺしりと、丸めたテキストで叩いてやる。
そんな時だった。
「莉生。携帯」
「ん」
テーブルに置いてあった私の携帯が震えて、画面を見ればメールじゃなくて着信だった。
着信:陽典くん
「もしもし?」
『朝からごめん。もしかして寝てたかな?』
「起きてたよ。大丈夫」
『なら良かった。今夜の約束なんだけどさ、待ち合わせ時間、30分だけ遅らせてもいいかな?急遽臨床見学があってさ。必修じゃないんだけど珍しい症例だから見学したくて』
「ん。わかった。じゃあ待ち合わせも駅前に変更する?」
『あ、それ助かる!○○駅で良い?』
「大丈夫」
『さんきゅ。あーあ。大学まで迎え行くのしたかったのになぁ』
「はいはい。ちゃんと見学してきてね」
『当たり前!じゃぁまた夜に』
「ん。またね」