コンプレックスな関係
「…ねぇ」
ボソっと貴弥が何か言ったけど、それは私には聞き取れなくて。
「何?」
思わず聞き返した私に、貴弥は酷く機嫌の悪い顔をしていた。
「ほんっっっと!可愛げねぇ!」
不機嫌もそのままに貴弥が言うから、私はきょとん、となってしまった。
「かっ…可愛げなくて悪かったわね!」
そんな言葉を口にしてしまって、私はまたもや軽く凹んだ。
なんで、どうしてだろう?
貴弥には、どうしても強がってしまう。
本当は、断れって言われて
…。
嬉しかったんだ。
貴弥の表情が、まるでヤキモチを妬いてくれてるみたいで。
そんなことあるわけないのに。
未だ、吹っ切れてはいないのだと。
まだ、彼が好きなんだと。
自覚してしまった。