コンプレックスな関係
そんな気持ちに蓋をしたくて、私は更に強がった。
「そんな態度取るならもう知らん!ロシア語の単位落とせ!」
私は開いていたノートや辞書をばさばさと手荒に閉じ、鞄に仕舞った。
「ちょ!おまっ…!」
焦った貴弥が手を伸ばしてそれを止めようとしたけど、蓋をして心の奥底に仕舞ったものが溢れ出すのが怖くて、私はそれを無視した。
「ロシア語ができるコなら他にもいるでしょ!貴弥がひと声掛けたら、ロシア語得意な女の子達がいくらでも手伝ってくれるでしょーよ。じゃぁね」
「待てってば!」
貴弥の声も無視して、私はカフェを足早に立ち去った。
もうこれ以上、私の心を乱す要因は欲しくない。
私は決めたんだ。
新しく恋をするって。
今度はもっと愛し愛される恋をするんだ。