コンプレックスな関係
【caff MADO】
アメ色の看板には、白いペンキで流麗な筆記体で書かれていた。
貴弥に促されて中に入ると、看板と同じアメ色のアンティーク家具が出迎えてくれた。
「可愛い……」
「女ってこういうの好きだよなぁ」
思わず呟くと、貴弥が私を見て少し呆れたような顔をする。
だけど、貴弥の視線はすぐに私から外れて、誰かを探すように店内を彷徨った。
私も貴弥の視線を追って、店内を見回した。
その時。
「美和!」
貴弥が軽く手を上げて、嬉しそうに弾んだ声で、私じゃない名前を呼んだ。
へ?
今、美和って……?
まさか、妹?