コンプレックスな関係
私は美和ちゃんに笑いかけた。
小狡い誘いだとわかってる。
多分、美和ちゃんは私を警戒してる。
それは、同じくシスコンな兄を持つ私だからわかること。
だけど美和ちゃんがこの誘いを断れるわけがない。
全部わかった上で、私は誘っているんだよね……。
こういう時、自分の性格の悪さを自覚する。
「そんなのダメだ。俺も行く」
やっぱりね。
貴弥は当然気に入らないよね。
それもわかってる。
「貴弥。女の買い物なんて面倒だから付き合えないっていつも言ってるよね?」
「美和がいるなら別だ」
「じゃあ貴弥。女性下着の売り場に入れるの?」
「無理!」
「じゃ、居ても邪魔だから付いて来ないで。それとも何?自分の妹の下着まで知りたいの?変態?」
「…っ‼」
勝った。
これで貴弥は付いて来れない。